ボックス! (百田尚樹)
- 2008/07/29(火) 01:30:26

(本の内容)
高校ボクシング部を舞台に、天才的ボクシングセンスの鏑矢、進学コースの秀才・木樽という
二人の少年を軸に交錯する友情、闘い、挫折、そして栄光。
二人を見守る英語教師・耀子、立ちはだかるライバルたち......。
様々な経験を経て二人が掴み取ったものは!?
(※以下三省堂公式ブログ 著者コメントより)
ボクシングは世界で一番古いスポーツです。
はるか昔、人類が二足歩行をしたと同時に生まれたスポーツ(格闘技)と言われています。
男が二つの拳だけで戦うこのスポーツには、太古の男たちを彷彿とさせるものがあります。
この小説はそんな世界最古のスポーツに生きるアホ丸出しの高校生の物語です。
かっこよさには程遠い少年たちがボクシングを通して人生と懸命に格闘します。
読者の皆さんが、彼らの滑稽で無様な戦いぶりを見て、大いに笑っていただけたらと思います。
そして少しの涙と、生きる勇気を抱いてくれたなら、著者としてこれほど嬉しいことはありません。
電車の中でタバコを吸ったり騒々しくしている若者たちを高校教師である耀子が見つけたところから物語が始まります。
我慢できなくなり若者達に注意した耀子でしたが、反撃にあい窮地に陥ります。
そんな耀子を救ったのは2人の少年でした。そのうち一人が、若者たちを次々と倒し去っていきました。
それが耀子と、まるで「風が吹き抜けたような」少年___鏑矢義平、そして木樽優紀との出会いでした。
カブこと鏑矢(ここから先はカブと表記します)はワイルドで、可愛い女の子には目がなくすぐ手が出るやんちゃな少年です。中学生の頃にボクシングジムの名物トレーナーに見初められ、
鍛えられた天才的なボクシングセンスの持ち主でした。
一方のユウこと木樽(ここから先はユウと表記します)はこれといってスポーツ経験がなくひ弱な普通の少年です。しかし真面目で成績優秀で学校の特進クラスのエリートでした。
どこまでも強気なカブと弱気で逃げ腰なユウ、対象的な2人でしたが幼馴染で固い絆が
結ばれた親友同士でした。
ある日、ユウは屈辱的な目にあいます。それがきっかけで強くなるためにカブがいるボクシング部に入部します。
運動経験もないユウですから、トレーニング開始後は、全身筋肉痛になり酷い目にあいます。
しかし真面目な性格からか、ボクシング部の監督である沢木の指示を素直に聞き、それを地道に実践していきます。
徐々に身体が慣れ、トレーニングの成果が少しずつ表れる___この描写がとてもよかったです。努力した結果、成長していく身体…自分のことではないのに何だか少しだけ嬉しくなってしまいました。
ユウはまるで太陽のようなカブになれなくても憧れを抱きこつこつと頑張っていきます。
また、ユウはボクシングだけではなく学業も抜かりなく「文武両道」を目指します。
ここが単なるスポーツ小説とは一線を画していました。
一方、カブはボクシング部では圧倒的な存在でした。並外れたセンス、破天荒な行動、そして桁外れのパンチ力。
ボクシングジムの名物トレーナーから叩き込まれた本能丸出しのボクシングで高校ボクシング界も席巻!
…と思いきやプロボクシングでは考えられないアマチュアボクシングの高い壁が待ち受けていました。
大会でも圧倒的なパフォーマンスで対戦相手を震え上がらせていましたが、KOなどの試合内容より如何に多く相手にパンチを当てたか重視するアマチュアのルールや減量に苦しみ思うような結果を残せずにいました。
耀子もボクシング経験なんてなかったのですが、沢木に請われボクシング部の顧問としてやってきました。
そこで驚いたのは優等生であるユウの姿。あんな子はなぜこんな本能丸出しのスポーツであるボクシングをしているのか、と。
そんな耀子に対し、ユウは沢木の言葉を用いて応えました。ボクシングはすごく科学的なスポーツであるということ。
それにしても英語で「science」という言葉に「ボクシングの攻防の技術」という意味があったなんて自分も目から鱗がおちました。
ボクシングを始めて1年間は試合に出れないというルールがあるためトレーニングだけの日々を続けていたユウですが、スパーリングなどを通じて自信がついたことがきっかけで前から抱いていた思いを耀子にぶつけることにしました。しかし耀子はそげなく、やがて耀子がカブに対し並々ならない思いを抱いていることにユウが気づきます。そこからユウはカブが憧れではなく目標となりました。
順調に強くなるユウ、そしてカブの前に最大のライバルであり高校ボクシング界、いやアマチュアボクシング界で無敵を誇る稲村の存在が大きく立ち憚ります。ついにカブがその稲村との対決、そしてユウのデビューの日も刻々と近づき…
のちにボクシング部のマネージャーになる丸野の存在も忘れてはいけません。何度も拒まれようがカブのことを「好き」と言える潔さ。
難病を抱える身なのに関わらずそこまで彼女を突き動かす力はどこからくるのでしょうか?
ボクシングにかける高校生の成長譚は魅力的ですが、それ以上に物語のなかで喜怒哀楽のメリハリがとても良く、500ページを優に越える物語でありながら最後まで読者を決して飽きさせず、そしてダレさせません!
個人的には耀子のパートが少しだけうざったく感じましたが、最後の最後まで書き切り、そして余韻も素晴らしい___とてつもない青春スポーツ小説の傑作だと思います。
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「ボックス!」百田尚樹
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- From: ぼちぼち |
- 2008/09/07(日) 22:16:05
【小説感想】ボックス!(百田尚樹) 2009年本屋大賞第5位![2009-S14]
2009年本屋大賞第5位!おめでとうございます。 ということで、優香さんも大絶賛の『ボックス!』を読んでみました。
- From: 映画+小説+家族=MyLife |
- 2009/04/08(水) 01:29:18
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この記事に対するコメント
>耀子のパートが少しだけうざったく。うざかったです。生徒に対して女になるなよ。
でもそれ以外は熱くなりました。先が読めない展開にもドキドキでした。
これはお互いの勘が働いた通り当たりでしたね。
>しんちゃん
まさかあそこまで強くなろうとは。いい意味で期待を裏切ってくれました。
耀子が水を差す感じでしたが、それを蒸発させてしまうほどとても熱かったです。
ここまで勘があたると気持ちいいですね♪
こんばんは。
どんなのか読んでみましたが、熱中して読めました。
キャラも物語のメリハリも、とってもよかったです。
「science」が「ボクシングの攻防の技術」の意味など、高校生だけでなく技術面精神面も含めて本格的な物語でしたね。
耀子のパートは、少し客観描写用ということで、ご容赦ください(笑)。
>藍色さん
こんばんはー。そして返事が遅くなって申し訳ございませんでした。
脇役にいたるまでキャラクターの造形がとても良かったです。
難しいところも分かりやすくそして細かく書かれていて、そして本筋が熱くそして面白かったです。
耀子の恋愛感情を抑え目にしてうっすらと感じる程度に書かれていれば、さらにいい意味でのクールダウン効果になったと思います。
こんばんは。
すごかったですね。本当、傑作だと思いました。
耀子パートはやっぱり時々気になりましたけど。
鏑矢も木樽もかっこよかったです。
特に木樽の変貌には感動しました。すごい!
そして丸野の強さにも心打たれました。
みんな可愛かったし、かっこよかったし、強かった。
>ちきちきさん
とにかく凄い傑作でしたね。
完璧というわけではないのですが、登場人物たちの発するエネルギーがとにかく凄く熱かったです。
こういう小説ではよく美少女、もしくは幼馴染の少女が出てくるのですが丸野がとにかく良かったです。彼女の芯の強さに自分も心打たれました。
初めまして
初めまして。「ボックス!」の著者、百田尚樹です。残念ながら証明するなにもありません。
ネットで自著検索をしていて偶然、りべさんのホームページを拝見しました。
拙著に対して大変好意的な文章を書いていただき、ありがとうございます。
一言お礼を述べたく、こうして失礼ながら書き込みさせていただきました。
耀子のパートがうざったく感じられましたか・・・・・・。他にも何人か同じような感想を述べられている方がいらっしゃいますね。
著者としては少し残念な思いもありますが、本というものは書き上げてしまえば、読者のものですから、私には何も言う権利はありませんし、言い訳もいたしません。皆様の感想を虚心に受け取らせていただきます。
本当にありがとうございました。
>百田尚樹さん
は、は、はじめまして!(どきどき)
そしてコメントありがとうございます!!
拙ブログの感想をお読みいただけるなんて、なんと申したらいいのでしょうか。
生意気なこと書いてしまって申し訳ございません。
月並みな言葉ですが、これほどまでに心踊り面白いスポーツ小説をいままで読んだことがありません。
新作も楽しみに待っています♪
いま「永遠の0」も積んでいますので、近い時期に読みます!
お返事、ありがとうございます。
「これほどまでに心踊り面白いスポーツ小説をいままで読んだことがありません」という言葉は、ものすごく嬉しい言葉です。
作中マネージャの丸野を気に入って下さってありがとうございます。ある意味、彼女は著者にとって一番重要な人物です。そして大好きな人物です。それだけに丸野のファンがいるのは嬉しいです。
>百田尚樹さん
お返事ありがとうございます!
他のどの登場人物よりも強く、丸野のその健気に頑張る姿をイメージできました。
そのためもっとも心を惹かれたのだと思います。
この本を読み終わったときあまりにも素晴らしくそれを誰かに伝えたかったため、
すぐ一番身近にいる読書仲間に「面白いから絶対読んで」と強引に貸しました(汗)。
するとすぐさまその知人から「あまりに面白かったから、もう一度読みたいのでもう少し借りていい?」という返事が!
読まれた誰もが面白いと思う小説はそう多くないと思います。
「ボックス!」はまさしくその多くないであろう小説です!
熱い夏はもう終わりですが、熱い「ボックス!」の輪がこれから拡がっていくと思います(「思いたいです」かな?)。
読まれた直後に友人に無理貸しされたとは・・・^^;
でも、その気持ちはわかります。本当に面白い本に出会った時は、その感動を共有したいから、友人に読んでもらいたいですよね。そうして貸した本が友人の心を捉えたとなれば、読書人の冥利に尽きますよね。
その本が「ボックス!」であったことは、私にとっては最高に嬉しいことです!! ありがとうございます。
「ボックス!」は売れていませんが、有り難いことに、読んでいただいた少数の方からは大変高い評価をいただいていることです。私には、そのことが何より嬉しいです。
本当にありがとうございました。
最後に一つ、質問させていただいていいですか?
リベさんは鏑矢と木樽のどちらが好きですか?(どちらにより感情移入をされて読まれましたか?)
答えにくい質問かもしれませんね^^; 難しいならお答え下さらなくてもかまいません。
>百田尚樹さん
たびたび丁寧なお返事ありがとうございます!
さて質問の答えは、カブですかね。
ただ感情移入したのはユウでした。それは自分が臆病な人間でケンカなんて殆ど勝ったことがない人間だったからでしょうか。ユウに己の姿をダブらせていたのかもしれません。ただしユウみたいに極めて真面目ではないし、勉強も優等生になれるほどではありませんでした。
そして物語のユウ同様にずっとカブに憧れていたのだと思います。
まるで風のように突き抜け、今はお好み焼きを焼いているカブ、子供たちにボクシングを教えているカブ。そんな時のカブの輝くばかりの笑顔がずっと記憶に残りました。
最後にこちらからもお願いがあります。
これからも素敵な物語を紡ぎつづけてください。
そしてより一層のご活躍を一読者として、そして一ファンとして期待しています!
あ、もう一つお願いが(小声で)。
それはここではとても書けないことなのです。
大変恐縮なのですが、もし宜しければメールアドレスを教えてくださいませんか。
捨てメールアドレスでも構いません(秘密コメントで結構です)。
もし差支えがあるようでしたらスルーしてもらっても結構です。
最後にもう一度お礼を。
本当に面白い小説をつくっていただきありがとうございました!!
秘密のコメント
ブログ管理人への秘密コメントです
多分、リベさんに教えて貰わなかったら読んでなかったでしょう。
よかったですよ〜。
耀子がうざったいって意見もありますが、耀子の目線が無かったとしたららと考えると、それはそれで淋しいですね。
ラストの爽快感は何とも言えない心地良さでした。
>あさとさん
自分もあの日、東京で出歩かなければ読んでいなかった本だと思います。
これも運命だったのかも(笑)。
耀子については、そのように読んでしまった人間がいたということで勘弁してください(苦笑)。
一歩引いた立場で彼らを見守る視線は確かに必要でした。
そしてラストも爽やかで良かったですね。