フェイバリット (高田侑)

  • 2008/06/23(月) 22:09:47




(本の内容)

保育士を辞めてしまった29歳の由真の遊び友達は、フリーカメラマンのハツモ。
はっきりいってイケてない。
でも一緒にいると心が騒ぎ、女だてらに「すげえ!」と叫びたくなることに出会う。
牛の撮影会、大声コンテスト、独りオペラの男……。
お金も仕事もないけれど、お気に入りの瞬間をていねいに生きる二人の、
のんきでシンプルな物語。

まず、どうしてもツッコミたくなるこの表紙。
イカを皿の上に乗せた絵でタイトルが「フェイバリット」ですか!?
まさかとは思いましたが、その通りこのイカ(正確には「イカのゲソ」)が大好物である由真が
主人公です。

とにかくこの由真がツイていないのです。
なんとか保育士の資格をとって勤めた保育所の職場環境があまりにも悪く、心も体もスタズタ
になって職場を去り、自転車も盗まれるし、彼氏にも恵まれていないのです。
佃煮屋の跡継ぎと結婚し子供を生んだ親友の沙耶の生き方に憧れる日々が続いていました。

このままでは欝な物語になるところ、救いとなるのが小学校からの同級生である
ハツモの存在でした。
一見イケてない体形、そして性格のハツモですが、カメラマンとして仕事をした人脈を生かし
由真をいろいろな場所へ連れて行きます。
その行き先がまた変わっているのですが、とても絶妙なのですよ(これは読んでの
お楽しみ♪)。
友達以上恋人以下であるハツモと過ごす時間は由真を癒してくれました。
そんな二人の関係が続いていたのですが、ある日ハツモはついにその一線を越える告白を
しました。そして…

この小説は20台後半以上の年齢の方なら誰しも共感できると思います。未だ独身である方は
さらに(ハイ、自分もそうです)。
30近くなると周囲からの「早く身を固めろ」とのプレッシャーが強くなります。
ハツモの告白にOKしたものの、恋人というより未だ友達の延長線上のような関係が続きます。
だけどその二人の距離感が読んでいてとても和みました。

ハツモも由真と同様に仕事で挫折を味わい自らの「フェイバリット」から遠ざかろうとします。
その"らしさ"を失うと後悔するだろうし、物事がうまく続きません。

最後のハツモの言葉もベタだけど、これもまたハツモらしく、それに対する由真の返事も
彼女らしかったです。
決して感動するタイプの物語ではありませんが、読んでいて嬉しくなるような温かい物語でした。

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この記事に対するコメント

ひなたのようにポカポカした作品でしたね。
気持ちよく読めましたが、すぐに記憶から抜けそう。
ゲソ好き。これだけは憶えていそうですが(笑)

ナイスキャラ

ハツモのキャラがなければ、ここまで楽しい物語には
ならなかったと思うのです。
ハツモには由真が必要だし、
由真にはハツモが必要。
こういう関係性、良いなぁとつくづく思いましたよ。

>しんちゃん
おっしゃる通りポカポカした作品でした。
確かに記憶に残りずらい作品ですが「ゲソ」といえばこの本という記憶が残りそうですね(笑)。

>BEEさん
ホントにハツモがいいキャラでしたね。
互いが互いを必要としているからこそ成り立っているし、
とても微笑ましかったです。
BEEさん、おすすめありがとうございました!

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